機関紙『東京YWCA』

東京YWCAでは、会員向けに、年11回機関紙を発行しています。
ここでは、内容の一部をご紹介します。

機関紙『東京YWCA』 No.755(2020年1月号)


世界の仲間たちと共に目指す、2035ビジョン
    

藤谷佐斗子(日本YWCA会長)

 昨年2019年の晩秋に、日本中の老若男女が、にわかファンを含め熱くなったのが、ラグビーワールドカップです。その試合の中で、日本の選手のあるコメントが心に響きました。「我々はなにを目指すのか、わかっています。チームの全員が、目指すビジョンにむけてそれぞれの場で、4年間をかけてビジョンの達成に向かって毎日努力をしてきましたから」というものです。  
 彼らは、「ONE TEAM」を合言葉に多様な国籍や環境の違いを乗り越え、日本の代表として、「ベスト8に入る」というビジョン=目標を達成しました。  
 さらに、準決勝では、南アフリカと対戦し、力及ばず敗退しましたが、その時のコメントにこのようなものがあります。「世界一を目指すチームと、ベスト8を目指すチームとは、その準備の内容もレベルが違うから当然の結果です。我々は、これからは、ワールドカップ優勝をビジョン(=目標)として準備をしていきます。」
 私は、この一連のコメントからYWCAとして、参考になる多くの示唆が含まれていると感じました。 
 日本YWCAは、前総会期からの課題を引き継ぎながら、4年間かけてビジョン・ミッションの見直しについて全国のYWCAへ協議提案しています。世界YWCAの共通ビジョン(目標)「2035年には、一億人の若い女性と少女が、正義とジェンダー平等を実現し、暴力・戦争のない世界をつくるため権力構造を変革し、全ての女性にインクルーシブで持続可能なYWCA運動を先導します」を、全国のYWCAとともに同じ方向を目指して進むことが、日本のYWCA組織の維持のために必要だということを、理解していただくためにです。  
 理解を得るための具体的な例として、個性を活かし、かつチームでゴールを目指すラグビーという競技はとても分かりやすいのではないでしょうか。

 YWCAの課題は何か

 東京YWCAの事業は、各拠点の特色を活かした社会福祉事業、青少年活動、留学生の支援、体育事業や電話相談、平和と正義のためのアドボカシーなど、どれをとってもキリスト教基盤にたち、始められたものです。 
 これらの活動に共通する課題は、継続するための「人」と「資金」を維持する困難さです。活動を始める際には、熱い思いや動機が会員の胸にはあっても、その先の明確なゴールの指標を決めておらず、継続することに自らの力を使い果たし、後継者の獲得や育成への余力がなくなっているからではないでしょうか。  
 すべての事柄には始まり(スタート)があり、また終わり(ゴール)があります。人間の一生に通じるものかもしれません。  
 多くの会員が考える活動のゴールはおそらく「継続し続けること」と設定するのではないかと、私は推測します。しかし「継続し続ける」ゴールを可能にするには、自分が頑張るのではなく、後継者つまり若い世代が継続的に活動に関わり続ける仕組みがあり、その仕組みが健全に働き、その結果が出ているということが大切なポイントです。そのポイントにこそ、私たちのビジョンを絞ることがいま必要とされているのではないでしょうか。

 なぜ、今、ビジョン・ミッション見直しなのか

 このポイントは、残念なことに全国のYWCAの活動のおおよそに、共通しておりますし、またYWCA以外のNGOやNPO団体の多くが、存続できず苦しむ共通の原因でもあります。この、課題を抱えながら、2020年の11月の全国総会にむけて、私たちは、今総会期の総括と同時に次の総会期にむけてどのようなバトンを誰に渡すかを決める時期になりました。
 今一度、YWCAの先輩たちが、目指していたビジョンは何かを振り返ってみましょう。
 そして、世界の仲間たちと目指す、15年後(2035年)のビジョン(=ゴール)を、自らのYWCAのビジョンと重ねることが可能かどうか、一緒に考えてみませんか。
 会員一人ひとりが同じビジョンにむかって、それぞれの働きの中で同じベクトルを目指して進むことができさえすれば、組織の活性化は可能です。
 社会構造の変革を幻で終わらせず、具体的に実現するため、ともにビジョンを目指してまいりましょう。


 

 




バックナンバー

2019年12月号 クリスマスメッセージ クリスマスの光.pdf(東彩子)

2019年11月号 韓国で「わたし」と向き合いながら.pdf(長尾有起)

2019年10月号 「日米同盟」とは何か.pdf (川戸れい子)

2019年8月号 昨日に変わらぬ今日、今日に変わらぬ明日.pdf (鈴木伶子)

2019年7月号 権力者から私たちの時間を取り戻そう.pdf (石井摩耶子)

2019年6月号 「命(ぬち)どぅ宝」―わたしは命である―.pdf (神谷武宏)

2019年5月号 憲法記念日に思う 「憲法を議論せよ」.pdf (島昭宏)

2019年4月号 イースターメッセージ 慰めと希望のイースター.pdf (高橋貞二郎)

2019年3月号 講演会「世界の核被害」.pdf

2019年1月号 年頭にあたって 寛容でありたい.pdf (川戸れい子)

2018年12月号 クリスマスメッセージ クリスマスを迎えるために.pdf (瀬口哲夫)

2018年11月号 講演会「BC級戦犯を知っていますか?」.pdf

2018年8月号 そこに「痛み/悼み」はあるか.pdf (金迅野)

2018年7月号 対決ではなくて、対話こそが平和を作る.pdf (楊志輝)

2018年6月号 沖縄と憲法.pdf (金井創)

2018年5月号 憲法記念日に思う ー改憲的護憲路運について.pdf (高木一彦)

2018年4月号 復活?.pdf (秋葉晴彦)

2018年3月号 国際女性デーを記念して.pdf (藤原聖帆、山口慧子対談)

2018年1月号 年頭にあたって この道を、ためらわず.pdf (実生律子)

2017年12月号 クリスマスメッセージ クリスマスの光と闇.pdf (鈴木育三)

2017年11月号 「共に生きる」ということ.pdf (田中公明)

2017年10月号 知っていますか? 外国人労働者の問題.pdf (鈴木伶子)

2017年8月号 戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話です.pdf (暉峻淑子)

2017年7月号 天皇の「おことば」は天皇制に生かされるか.pdf (吉馴明子)

2017年6月号 米軍基地と沖縄.pdf (糸洲のぶ子)

2017年5月号 憲法記念日に思う バーニー・サンダースの選挙運動に学ぶ.pdf (宇都宮健児)

2017年4月号 イースターメッセージ からだのよみがえり.pdf (大久保正禎)

2017年3月号 東日本大震災から6年、東京YWCAの被災者支援の取り組みについて.pdf (池上三喜子)

2017年1月号 新しいタイプの指導者を迎える世界.pdf (ランデス・ハル)

2016年12月号 クリスマス、プレゼントは希望.pdf (上田亜樹子)

2016年11月号 障害があることと、パラスポーツの関係.pdf (橋本和秀)

2016年10月号 遠のく平和を、あきらめずに追い求めよう.pdf (石井摩耶子)

2016年8月号 「平和」の問題以前に「民主主義」を考える.pdf (上村英明)

2016年6月号 教育現場から18歳選挙権を考える.pdf (加藤英明)

2016年5月号 憲法記念日に思う.pdf (武井由起子)

2016年4月号 イースターメッセージ 甦るという奇跡を信じること.pdf (岩村太郎)

2016年2月号 となりびと 若い米兵との出逢い.pdf (砂川真紀)

2016年1月号 年頭にあたって 平和の種をまく.pdf (藤原聖帆)

2015年12月号 クリスマスメッセージ インマヌエルー神はだれと共におられるのか?.pdf (瀬戸英治)

2015年11月号 安全保障関連法の後に.pdf (川戸れい子)

2015年8月号 善悪を見分ける力.pdf (松本敏之)

2015年6月号 選挙が終わって 何が残った?.pdf (川戸れい子)

2015年5月号 「憲法9条」という希望をつなぐ.pdf (斉藤小百合)

2015年4月号 イースターメッセージ  平和があるように.pdf (神﨑雄二)

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