東京YWCA広報紙『Newsletter』vol.27
発行日:2024年7月15日 (年2回発行)
目次
【特集】活動報告 2023年度を振り返って
今号は、2023年度に行った事業の報告号です。新型コロナウイルスが5類に移行し、日常生活は感染対策をとりつつも感染拡大前にほぼ戻ってきたことから、予定していた事業は感染拡大を理由に中止することなく実施できました。皆様に心より感謝申し上げます。
平和と人権
むさしの平和チーム2023
2023年度、むさしの平和チームが実施したプログラム、シンポジウムをご紹介します
「戦争体験の継承を考える」参加者53人。前日には登壇者らと事前学習として法政大学沖縄文化研究所を訪問しました
むさしの平和チームは東京YWCA武蔵野センターを拠点に活動し、平和の課題として沖縄をテーマの軸に据え、武蔵野地域の「むさしの市民平和月間」へも参加しています。
6月23日の沖縄慰霊の日に向けたSNSアクションではインスタグラムにて大学教授と若手研究者5人による沖縄の文化、環境、歴史、経済、基地問題の推薦図書を紹介し、沖縄への新たな知見を広げることに取り組みました。10月14日には沖縄では本土復帰後も行われていた私宅監置を取材した『夜明け前のうた』の上映会と、監督らによるトークをカフマンホールで実施しました。人権侵害の問題は、日本、沖縄の歴史と同時に、家族の歴史としても刻まれるのだと考える時間となりました。11月25日「沖縄の米軍基地による環境汚染-日米沖関係-」では、講師に環境問題を中心に扱う沖縄のメディア/調査団体であるIPP河村雅美さんを迎え、武蔵野センターとオンラインでつなぎました。質疑応答では、PFOA(有機フッ素化合物)の問題は沖縄だけの問題ではないため、地域間での連帯の必要性があると盛り上がりました。
沖縄の米軍基地に関する講演会。35人が参加
ユース世代が集まってシンポジウムを開催
2024年3月23日「戦争体験の継承を考える」シンポジウムでは、沖縄・広島・長崎からの視点で非核・非戦を活動・研究のテーマとしている20代の5人が司会者・登壇者としてカフマンホールに集まりました。参加者からは若者の活躍に胸が躍った、YWCAが若い活動家の交流の場所になって欲しいなど、今後のユース主体のイベントへの期待が寄せられました。
青少年育成
キャンプ再開。みんなの笑顔も再会
2023年夏、野尻キャンプには子どもたちの笑顔があふれました
参加した子どもたちは、他の誰も立ち入らないプライベート空間で、優しくて頼もしい大学生リーダーと一緒に生活しながら、思いっきりキャンプを楽しみました。大学生リーダーは大人気で、多くの子どもたちがスキーキャンプにリピーターとなって参加しました。2024年度も安全で楽しいキャンプを続けていくために、リーダー養成を充実させていく予定です。
4年ぶりに子どもたちの歓声が戻ってきた夏は、豊かな環境を次世代に残していくことの大切さを実感した夏でもありました。
元気いっぱいの大学生ボランティアリーダーが活躍中です
平和と人権
DV被害者の支援者が集合
支援の土台を学び「より良い支援」の提供を目指す
DV被害者(サバイバー)を支援する自治体の女性相談支援員や民間の支援員を対象にした研修を2023年度は7月と2月の2回実施し、延べ44人が受講しました。サバイバーの置かれた状況や背景を理解し寄り添った支援ができるよう、レクチャーやワークショップを通して体系的に学びました。また、この研修を受けた人を対象に、トレーニングの学びの振り返りや現場に戻り支援をする中で生まれた疑問への解決のため、フォローアップを実施し10人が参加しました。
支援者トレーニングとフォローアップに参加して
N.S.さん(相談員・名古屋)
支援スキルを磨きたいと参加しましたが、加害者への恐怖、不安、絶望など様々な心の動きを疑似体験するワークを通し、当事者のことを何もわかっていなかったと思い知りました。相手の身になって考えるという支援の基本を改めて学べました。
社会福祉
にじいろ教室
陶芸、アートクラスで初めての作品展
「にじいろ教室」は発達に課題やニーズのある子どもたちの体験活動です。陶芸、ヨガ&ダンス、料理、アート、体操の5つのクラスを行っています。板橋センターが改築20年を迎え、11月にオープンデーを開催した会場で、陶芸とアートのクラスの作品展を教室開始以来初めて行いました。これまで自分と家族や身近な人の間で楽しんでいた作品を、多くの人に鑑賞してもらったことは嬉しい経験となり、子どもたちの自信とモチベーションにつながる機会となりました。
作品展のために選び抜いた一品が勢揃い。題名にもみんなの感性が光りました
平和と人権
『ガザに生きる』上映会
イスラエルとパレスチナの紛争を知る
パレスチナで30年以上取材を続けているジャーナリスト土井敏邦さんが監督した『ガザに生きる』5部作の上映会を2024年1月20日に開催しました。昨年10月に始まったイスラエルの大規模なガザ侵攻は、国際社会を二分し、現在も終結に至っていません。日本に住む私たちにできることはあるのか。今まで、イスラエルの占領が続くパレスチナの状況に目を向けてきただろうか。この上映会を通してパレスチナの声を聴き、今できることを考える機会としました。
監督に最新のガザの状況を聞きました
平和と人権
東日本大震災を忘れない取り組み
この13年間は何だったのだろうか。私たちにできることは何だろうか
東日本大震災を忘れない取り組みとして、4月に福島市在住の写真家で高等学校美術教員の赤城修司さんを招き、2011年から今日まで13年間を写真で振り返りつつ感じてきたことを伺いました。福島の子どもたちをキャンプに招待する企画は、いわき市の重症心身障がい児ときょうだい児、保護者の受け入れを7月末で調整していましたが、日程が合わず今回は見合わせました。このプログラムは、福島第一原発の事故が起きた2011年に生まれた子どもたちが20歳になるまで続けることを決めており、これまでのご寄付を原資に実施しています。9月に紛争・災害時緊急支援事業がスタートし、東日本大震災支援事業は引き継がれました。経験とネットワークを生かし日本YWCA等関連団体と連携して事業を行います。
募金は中央共同募金会を通して現地の支援活動に使われます
東日本大震災でできた、顔の見える関係
1月に能登半島地震が発生しました。東日本大震災から連携してきた東京ボランティア・市民活動センター、災害サポート東京、東京都が提案した都内一斉街頭募金にこたえ、東京YWCAも2月にJR御茶ノ水駅周辺で募金活動を行いました。
女性の健康
肢体不自由者水泳
水泳を通して笑顔あふれる場所
「あひるの会」は肢体不自由者が水泳を通して喜びと自信を得られるようレクリエーションとして行っています。2023年度は8人が登録し、ボランティア12人と延べ92回実施しました。ご寄付でプール用車いすを1台購入し4台に増えたことで、プールサイドでの移動もスムーズになり、水泳後のシャワーを速やかに浴び体が冷えることも減りました。新しいボランティアが増え、先輩に指導を受けながら1人立ちを目指しています。
ピンクの浮き具で背浮き&水中ウォーキング「水が気持ちいい~」
青少年育成
日本語・学習支援
子どもが安心して成長できるように
「いちごの部屋」では、外国ルーツの子どもとその保護者を対象に、日本語支援を通して学校の勉強や生活のサポートをしています。2023年度は主に武蔵野市、三鷹市に住む、7か国にルーツのある子ども29人と保護者7人が登録、年間111日開室し、登録ボランティア34人が支援しました。保護者の情報共有や体験活動の場として、ペアレンツ・カフェをスタートし、また、学生や20代社会人のボランティアが「ユース会議」を開き、外出プログラムの企画を行うなど様々な取り組みができました。
※この事業は、「三菱財団×中央共同募金会~新型コロナウイルス感染下において困窮する人々を支援する~外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」を受けて実施しました。
ユース会議企画のお花見プログラム。公園内の江戸東京たてもの園へも
Report 2023年度 ご寄付・ボランティア報告
東京YWCAをご支援くださる皆様に心より感謝申し上げます。2023年度は寄付目標額636万円のところ、1834万1655円のご寄付をいただきました。ご支援くださいました多くの皆様には深く感謝申し上げますとともに、今後とも東京YWCAへのお支えを心よりお願い申し上げます。
「2023年度 事業報告」のご案内
東京YWCAの事業報告および財務諸表は、ホームページで公開しています。今号でご紹介した活動以外の取り組みについても詳しく掲載していますので、ぜひご覧ください。
ご寄付のお礼とお願い
いつもご支援くださる多くの皆様に心より感謝申し上げます。いただいたご寄付は、それぞれの事業のために大切に用いさせていただきます。引き続き東京YWCAへの温かいご支援を心よりお願い申し上げます。