2023年10月7日にハマスからのイスラエルへの攻撃ではじまったイスラエルのジェノサイドは、休戦の見通しが立たないまま、パレスチナ市民の犠牲者が4万人を超える事態となっている。
いま、「ガザのパレスチナ人」とひとくくりにされる人々も、一人ひとりは私たちとおなじ人間だ。ドキュメンタリー映画『ガザからの報告』では、一つの家族の25年にわたる取材で、オスロ合意以降のガザの人びとが何を思ってきたか、また、福祉団体であったハマスが人びとから乖離していった経緯を追うことで、現在のガザの惨状の根源を明らかにしている。
私たちは、この上映会で土井監督の命がけの取材を通して、ガザの真実を伝えたい!
日にち:2025年4月12日(土)
時間: 午前11時 第一部「ある家族の25年」(120分)
午後1時45分 第二部「民衆とハマス」(85分)
3時20分 土井敏邦監督講演
4時 終了
チケット 千円(通し券のみ、自由席)
東京YWCA会館またはピーティックスからお求めいただけます。
会場 東京YWCA会館カフマンホール
主催 公益財団法人東京YWCA
お問い合わせ 03-3293-5436
『ガザからの報告』監督・撮影・編集・政策:土井敏邦
整音:川久保直貴 デザイン:野田雅也・尾尻弘一 ウェブ広報:ハディ・ハーニ
配給協力・宣伝:リガード ドキュメンタリー/2024/日本/205分/Blu-ray
©DOI Toshikuni 2024
■土井敏邦(どい・としくに)監督プロフィール
1953年佐賀県生まれ。1985年よりパレスチナ・イスラエルの現地取材。1993年より映像取材も開始し、NHKや民放で多くのドキュメンタリー番組を発表。2009年4月に、ドキュメンタリー映像シリーズ『届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと』全4部作を完成、その4部の『沈黙を破る』は2009年11月、第9回石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。 2012年7月、『飯舘村 第一章・故郷を追わる村人たち』(ゆふいん文化・記録映画祭/第5回松川賞)、2013年5月に『飯舘村―放射能と帰村―』を公開。2019年には映画『福島は語る』(文化庁映画賞 文化記録映画優秀賞)、2024年3月に『津島 ー福島は語る・第二章ー』を公開。
主な著書に『占領と民衆―パレスチナ』(晩聲社)、『アメリカのユダヤ人』(岩波新書)、『「和平合意」とパレスチナ』(朝日選書)、『沈黙を破る』(岩波書店)、『"記憶"と生きる―元「慰安婦」姜徳景の生涯』(大月書店)など多数。
■ドキュメンタリー映画『ガザからの報告』内容
第一部「ある家族の25年」(120分)
故郷を追われ、ガザ最大の難民キャンプ「ジャバリア」で暮らすエルアクラ家。土井敏邦は1993年9月の「オスロ合意」直後から住み込みで取材を開始した。職につけず、結婚もままならない息子たち。家族と共に故郷へ戻れる日を待ち続けている父。イスラエル軍の撤退、解放、パレスチナ自治政府の誕生――。「和平」ムードに人々が歓喜する一方で、父は「これは本当の和平ではない」と怒り、故郷への帰還を諦めて家の増築を始める。パレスチナ初の選挙が行われ、インフラが整備されたガザで、エルアクラ家の息子たちは仕事と家庭を持ち、新たな生活を送っていた。しかし自治政府の独裁・強権政治と腐敗が深刻化し...。25年の歳月をかけエクアクラ家の人々の人生をみつめた本作はガザ住民にとって「オスロ合意」とは何だったのかを問い、「ガザのパレスチナ人」と一括りにされる彼らが私たちと"同じ人間"であることを伝える。なお、エルアクラ家の人々は今回のイスラエルの軍事作戦により、消息が途絶え安否不明となっている。
第二部「民衆とハマス」(85分)
. イスラエル国家を認めず、全パレスチナの解放、難民の帰還を掲げるハマス。彼らは貧困に苦しむ家庭への食料配布や孤児の救済、女性の職業訓練、医療支援といった慈善事業と、 パレスチナ解放をめざす武装闘争の両面で民衆の支持を拡げてきた。2006年の選挙と、翌年の内戦の勝利によってハマスがガザ地区を実効支配するようになると、イスラエルは封鎖政策を強化。さらにはハマスの悪政も重なり、人びとはかつてない貧困に喘ぐことになる。絶望した住民たちの中にはイスラム教で禁止されている自殺に走る者、ガザ脱出を図る者まで続出していた。本作は後にイスラエルに暗殺されたハマスの指導者やスタッフ、戦闘員、そしてガザ住民へのインタビューを重ね、ハマスが民衆から乖離していったプロセスを追い、今のガザの惨状の根源を浮かび上がらせる。そして今回のガザ攻撃を受けた現地からの報告を元に、インフラも人間も、すべてが破壊されてしまった現在のガザの厳しい現状を伝える。