ひびきあう心

2020年3月

副園長 瀬口哲夫

 年長の子どもたちも乳幼児期という"冒険の時"を終え、小学校へと旅立つ時期になりました。保育園入園が決まった時に、子どもは保育園でやっていけるのだろうか、自分が選んだ'仕事と家事を両立させるという生き方'は間違っていたのではないかと考え込んでしまった保護者の方もいらしたことでしょう。園で熱を出せば迎えを要請されて仕事を早退しなければならず、子どもが病気になって出勤できなくなれば勤務先に気を使い、仕事を続けていけるのかと不安になる。夜に高熱を出した時は我が子がどうかなってしまったらと怖くなってしまう。周囲は励ましてはくれるけれど、自分の代わりはしてもらえない。だから、感染症と聞くだけでピリピリしてしまう。疲れて、ちょっとでも手を抜こうものなら「それでも親なの」「仕事を調整したら」と一番信頼できると思っていた近親者に言われてしまう。少し大きくなったと思ったら、大声で叫び反抗され、ひどい言葉を自分の子どもから投げつけられる。朝の忙しい時に保育園に行きたくないと愚図られれば園で上手くいっていないのではないかと悩む。まるで闇の中を手探りで進むような日々。そんな毎日を支えてくれたのは、外ならぬ'子どもの微笑みや語らい'だったのではないでしょうか。そこで手に入れた'子どもと生きる喜び'そして'誇り'は、あなただけの勲章。
 例年、保育園は卒園式に向け、保育士と子どもたちが入園以来の出来事や出会った人々のことを振り返り、どのように'ありがとう'を伝えようかという話し合いになります。この卒園式は子どもたちだけのものではなく、保護者一人ひとりのものでもあります。保護者の方々の様々な思いからあふれ出す涙は"ここまでよくやった"という自分へのご褒美でもあると思います。私たち保育園職員は、共に子どもの傍で生きてきた人間として、明日から再び始まる新しい冒険の旅へのエールを、心を込めて皆様にお送りします。卒園式での保護者や先生たちの涙を見た子どもたちが、自分がいかに大事にされてきたかを感じてくれるといいと思っています。
今年は、新型コロナ感染症の世界規模の流行で多くの方々が不安に支配される3月となってしまいました。そうした世相であっても、卒園生を祝う気持ちは変わりません。
職員は子どもたちにできることをしっかり考えて、「心からの'ありがとう'を交わしあえる卒園の集い」を作り上げたいと思っています。