ひびきあう心

2023年9月
副園長 瀬口哲夫

 子どもを育てていると心配なこともたくさん起きます。ケガや病気をしないように、失敗をさせないようにと、先回りして子どもに手をかけ、口を出したくなります。親がやってしまったほうが楽なことも起きるでしょう。ただ、困らないように大人がすべてを整えてしまうと、自分で考えたり決めたりする経験が奪われてしまいます。すぐ対応してあげるのが愛情ではなく、子どもが考える時間を待つ。頼むまで待つ。一緒に方法を考える。そこがポイントです。
 一方、親の望みと違うことを言ったりやったりすると叱られたり、不愉快そうな態度をとられてばかりいると、やりたいことを言えなくなったり、やりたいことを諦めてしまいます。
困難にぶつかった時、どうしてよいか分からなくなった時に自分なりに考えて乗りきる経験を持てずに育った子は、周囲を気にして決められず、自分を責めるか極端に命令的になることが多いようです。それが、その人の生きづらさになってしまうことも考えられます。
'我が子のことは自分が一番知っている。守れるのは自分だけ'という思いが強すぎると子どもだけでなく、自分も追い込むことにもなります。子どもは様々な経験を重ね、様々な人に出会い、自分で考えて生きることが大切です。子どもに影響を及ぼす人が自分だけと考えずに、様々な環境の中で周囲の人との関係のなかで、失敗したり偶然うまくいったりを繰り返しながら、経験を生かして大きく育っていく子どもの姿を楽しみにしましょう。