ひびきあう心

2023年3月
副園長 瀬口哲夫

 
 今年も花粉症の季節が来ました。花粉症は、体内に蓄積される花粉の量が一定量を超えると、コップの水があふれるように発症すると言われてきましたが、この理屈ではうまく説明できない部分があるようです。
 今は3歳ぐらいから発症する子が多く、それは子どもたちがあまりに衛生的な環境の中で、怪我もなく、虫刺されもなく、汚れることも避ける状態で育っているために、少しの菌や花粉、ある種の食物が体内に入っただけで身体に異物が入ってきたと思い込み免疫物質を過剰につくりだして、その物質が自分自身の体を酷く傷つけてしまう。これが、発疹や発熱につながるという話が最近になって出てきました。
 この話を聞いて、転んで怪我をしたり、熱を出したり、病気に罹ったり、自分の思いを通せないもどかしさからくる体調不良も、幼いうちから少しずつ経験することで、子どもは過剰反応を減らしていけるのかもしれないと思いました。怪我をしないように、病気にかからないように、子どもが困らないようにするだけではなく、子どもが様々なことに挑戦して怪我をしてしまったり、病気に見舞われたとしても、そんな時こそ、「これで強くなれる」、「こうしながら大きくなっていくの。だから大丈夫」と言ってあげられたら良いですね。