ひびきあう心

年長たからグループの子どもたちの一年                    

2020年6月
副園長 瀬口哲夫

 年長児になると一人で長時間にわたって製作や本読みに集中する子が現れます。保育士は子どもが満足するまで続けられるよう配慮します。一方、年長のグループで話し合いながらやりとげたことを喜ぶ気持ちも出てきます。うまくいかないこともありますし、協力して積み上げた塔を小さい子が壊してしまうこともあります。怒りだす子に、相手は小さいから我慢しようよと声をかける子もいますが、どうしたら次は壊されずに済むかという話し合いになることもあります。話し合いは年長児保育の大切なポイントです。クラスで困ったことが起きた時、何か新しいことを始めようとする時には保育士は子どもたちにわかる言葉で説明をします。そこで子どもから"やってみたい、こうしたい"という意見が出て、実践に繋がることもあります。話の途中でしゃべりだす子がいると「ちょっと待ってよ。人の話を聞いてから話すんだよ。」と言う子もいて、話し合いのルールが子どもたちのなかで次第に出来あがっていきます。話を聞いているだけの子には後で考えを聞くこともあります。みんなの前で意見を言うのには、時間やきっかけが必要な子もいます。焦ることなく、日ごろの何気ない 挨拶や言葉のやりとりから話すことの楽しさを知ることから始めます。
 子どもは自分や家族の名前に入っている'ひらがな'を様々な場所で見つけ、しだいに文字を読むようになります。カルタを好むのもこの時期です。そのうちに手紙を書こうとする子がでてきて、保育士に字を教えてほしいと言ってきます。保育士はゆっくり丁寧に文字を書き、子どもはじっと見ていて懸命に書こうとします。幼児の段階では書き順や形を厳密に教えません。文字を無理に教えても、本人が求めてやろうとする時ほどの効果はありません。一番大切なのは'意欲'です。やらせたいことではなく、やりたいことを好きなだけやることで、その子らしさが出来上がっていきます。
 庭の石をひっくり返してカナヘビやダンゴ虫を探しだし、飼いたいという子もいます。皆で植えて実ったキュウリやピーマンを摘みとり、ナイフで切って塩もみにして職員に配る子もいます。そこで生まれる'なぜ?''どうして?''どうやったら出来る?'に対して、保育士は答えを教えるのではなく、「なぜだと思う?どうやって調べようか。誰に聞いたら分かると思う?」と自分で答えを見つけだすように声をかけていきます。クラスには様々な図鑑が用意され、虫や動物、植物に詳しい保育士もいますし、友だちの中には'虫博士'も'恐竜博士'もいます。 先生のギターを見て、廃材で自分の楽器を作る子もいれば、ダンスの好きな先生と一緒にテレビのアイドルになりきってログハウスのベランダで小さい子を観客にして踊る子もいます。子どもの様々なアイデアでうまれる'おまつり'や'お化け屋敷'。友だちとの遊びのなかで自分に相応しい役割を見つけ、友だちの良さにも気づきます。サッカーや陶芸、運動会やクリスマスでやりとげたことが自信になって、いつか、何かのチャレンジのきっかけになると良いと考えています。 小学校は2020年度から幼児期の'遊び'を小学校のスタートに取り入れ、段階的に授業に移行することで、子どもが不安なく積極的に学び始められる環境を作ろうとしています。小学校は子どもの良さや特徴について、保育園と話し合う機会を持つようになりました。小学校への流れは変わりつつあります。卒園までに、誰が何を見つけ、どう育っていくのかを楽しみにしています。