園だより

「まきばのかぜ」

2020年9月
園長 大沢 千佳子


『今日、あなたは空を見上げましたか。。。』 

 

 真っ青な秋の空に流れる雲。ひつじ雲、いわし雲、そして空が高く晴れ上がった日のすじ雲。秋は、雲がその美しい姿を見せてくれる季節。

『ほら、見て!きれいな雲!』傍にいる子どもたちに声をかける。
『クモのいるところ知ってるよ』『違うよ、空の雲だよ』『雲は雨になるんだよね~』と次々に声が上がる。自分の背たけよりも長い虫網を持っていた子が『ぼく、蝉とるんだ!』と胸を張る。あれほど聞こえていた蝉の声がない。『今、まきばの庭にはいないみたい』と言うと、『いるよ!いるよ!高いとこに止まっているから聞こえないんだよ』『そうだよ。高いところにいるんだ!』みんなで大きな大きなエノキを見上げる。耳を澄ませながら一生懸命に見上げる。今日も子どもたちとの不思議で幸せな時間が流れていく。

「例年のように。」という言葉がすっかり消えてしまった今年。そもそも行事が少ないまきば保育園ですが、それでも8月末から12月にかけてはリユニオン、運動会、オータムフェア、クリスマス会とご家族に参加していただける機会が続く時期です。実施スタイルの変更、飲食を伴うものの中止等々、悩みつつやむを得ない判断をしなければなりません。『特別の一日』は難しい。だからこそ守りたいものがあります。子ども達が主人公であるという「まきば」の原点です。「子どもたちの世界は、いつも生き生きとしていて新鮮で美しく、驚きと感激に満ち溢れている」そういったのは、『センス・オブ・ワンダー』の著者、レイチェル・カーソン。子ども時代に必要なのは、教え込むことではなく感じ取ること。まさにそのことを一番大事にしている「まきば」での毎日。多少の窮屈さは加わったけれど、保育の本質は変わらない。変えない。 

「今日、あなたは空を見上げましたか。 空は遠かったですか、近かったですか。」
この問いから始まる一冊の絵本「最初の質問」(詩 長田弘 絵 いせひでこ 中学三年生の教科書にも掲載) 長田弘から是非挿絵をと頼まれた伊勢英子がその約束を果たしたというこの絵本は、R.カーソンの言う澄み切った洞察力や美しいもの、畏敬すべきものへの直観力を鈍らせあるいは失ってしまった多くの大人のための絵本と言えるかもしれません。一ページ一ページにある質問に過ぎた日々を思い出し、すっかり考え込んだり。そして最後には空を見上げたくなる。もし時間があったら、この本を手にとり、とっておきの質問を見つけてみて下さい。

9月。今月もどうぞおすこやかにお過ごしくださいますように。

◆バックナンバー
2020年8月号 まきば保育園 園だより.pdf
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2020年4月号 まきば保育園 園だより.pdf
2020年3月号 まきば保育園 園だより.pdf
2020年2月号 まきば保育園 園だより.pdf
2020年1月号 まきば保育園 園だより.pdf
2019年12月号 まきば保育園 園だより.pdf
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