園だより 2024年11月
「子どもに」から「子どもによって」へ
園長 瀬口哲夫
メジャーリーグの大谷選手の影響もあるのか、幼児組の男の子たちが事務所に「先生、野球をしよう」と誘い来ます。年少の子どもたちも何が始まるかと見つめています。 はじめは、子どもにバットを振ってもらい、その動きを確かめて軌道上にタイミングよくボールを投げます。それが偶然であっても、バットがボールに当たった瞬間、子どもは満面の笑みを浮かべます。「どう、すごいでしょ」と言わんばかりです。一旦自信がつくと力づよくボールを打てるようになります。それを見た子どもが集まってきて、だれかに何も言わなくても、飛んだボールを拾い集めて、打つ順番を決めています。子どもたちは次の子に打ってもらわないと自分の番にならない。時間がもったいないと思っているかもしれません。ごく普通にそれができることに驚かされます。 次第に、こちらのタイミングで投げるようにします。すると、ボールの動きに合わせて打ち方を変えたり、「先生もっと上に投げてよ」と頼んでくる子もでてきます。打てないことがあっても、次は打つぞと思うようです。「ここに立つといいよ。こうやってバットを振るんだよ」と友だちにアドバイスする子もいます。ボール拾い専門の子もいて、自分に出来ることを見つけていることがよく分かります。 ある時、投げたボールにどうしてもバットが当たらない子に、ゴロを投げてみました。すると、「うえに投げてよ!」と怒られました。子どものプライドや、やる気を傷つけたようです。そこで、子どもにゴロを投げてもらい私が打つことにしました。すると、みごとに空振り!その時の子どもたちの嬉しそうな顔、忘れられません。「毎日、練習してあげるからね!」と子どもたち。私が子どもたちに鍛えられています。