園だより

「まきばのかぜ」

2020年11月
園長 大沢 千佳子

秋 つれづれに。

 京都に住む妹から近江米と寺田のさつまいもが届いた。この組み合わせは、そう!さつまいもご飯‼ あとは、いさきの塩焼きといんげんのごまよごし、豆腐と油揚げの味噌汁、デザートは柿。炊き立てのご飯から顔を出すイチョウ切りのさつまいもは黄金色。仕上げは、炒った黒ごま塩。素朴であったかくて、懐かしい秋の味。

 「今年は、紅葉がきれいよ」小さな旅から帰ってきた友人が教えてくれた。鶴岡の藩校近く、民家の庭先の楓の赤、ソウルの街路樹の銀杏の黄、山々の紅葉ではなく街で見かけた色を鮮やかに憶えているのはなぜだろう。「まきば」の木々もほんのり色づき始めた。美しく色づく条件は、昼間の日差し、夜の冷気、そして水分。「悩みと苦しみ(冷気)に打ちひしがれ、数限りない涙(水分)を流し、周囲からの温かみ(日差し)に触れて、人の心も赤く、黄色く色づく。」―ある日の新聞のコラムからそれぞれの人生をふと重ねてみる秋の色。

 光をたっぷりふくませて小さな草花が咲く春はあったのだろうか。照り付けるような日差しを受けてなおしっかりと緑の枝を這わせ立つ樹々に見惚れた夏はあったのだろうか。季節を感じる余裕もなく過ぎた今年。せめてこの秋、心静かな時を持ちたい。枯草が小さく揺れるさまを見ながら。変わらずにあった自然の営みに気づく自分でありたい。

 「まきば」色で塗られたカラーコーンを逆さにして穴の中に枯葉を一人で入れている。先生も手伝う?と声をかけると、ニコッと頷く。二人で入れていると、僕も手伝うよともう一人加わる。いっぱいになって、よいしょ よいしょ と三人で運んだ先には大きな水たまり。コーンを持ち上げ、いっせいのせい!!で枯葉を一気に蒔く。三人で笑う。その繰り返し。子ども達にはかなわない。またひとつ、小さな思い出が増えた。

 11月。来月はクリスマスを迎えます。園だより2015年12月号で一度お伝えしましたが、一冊の本を再びご紹介します。「クリスマスの短編集」キャサリン・パターソン著中村妙子訳 毎年クリスマスが近づくと必ず手にする本。クリスマスを待つ家庭への作者のメッセージは優しさに満ちています。夫のパターソン牧師は、毎年のクリスマスイブ、会衆にひとずつ読み聞かせたといいます。読み進めていくと、あたたかなものにつつまれ、心がやわらかくなっていく自分がいます。最後には、忘れていた大切なことに再び出会う一冊。コロナ禍の中で過ごさざるを得なかった一年の最後に。子どもたちを何よりも大切に思っているあなたへ。

 

 

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