園だより

「まきばのかぜ」

2021年6月
園長 大沢 千佳子

ぶらんこスケッチ

 大きなエノキには、みんなが大好きな木のぶらんこがあります。
子ども達のためにと枝を差し出してくれている、おおらかで優しい樹です。

 前へ後ろへと大きく大きく揺れるぶらんこ。ベンチに座って、いち、に、さん...と数えながら順番を待っている子どもたち、その目に映るぶらんこも楽しそうに揺れています。風を切って高く高く、あの雲まであの空まで飛んでいって、どんな景色を見るのでしょうか。かつて、こんな風に遊んでいたおかあさん、おとうさんがきっといるはず。子どもたちが遊ぶ姿は昔も今も同じです。ただ、大人になった今、あの時見えた景色はもう見えないけれど...

 年中のHちゃんが、たから組のKちゃんに尋ねます。「私もS君と一緒にぶらんこに乗ってあげたい。」先生がゆっくりと押し出すぶらんこに、小さなS君の面倒を見ながら一緒に乗っていたKちゃんは答えました。「そうか。乗りたいのね。それならS君に聞いてみて。一緒に乗ってもいい?ってね。」ついこの間まで、私の顔を見ると、「園長先生、あっちへ行って!来ないで!!」と直球を投げたり、抱えきれないいろいろな気持ちを目の前の人に少し不器用にぶつける姿が多かったKちゃん。その声を聞くたびに、その姿を目にするたびに、自分の優しさに気づいて...、素直な自分がいることに気づいて...と思いながら、Kちゃんとの丁寧な関わりを皆で積み重ねていこうと考えていたところでした。年下の子と一緒に乗りたいという気持ちを受け止め、相手の気持ちを聞いてあげてねと優しく教えたKちゃん。それは、これまで寄り添ってきた先生たちの優しさが、Kちゃんの心の中にたくさん満ちて、こぼれ落ちた瞬間でした。

 子どもにはすっと成長する瞬間がある。でも、それは予期せぬ瞬間なのです。「まきば」には、子どもたちの心と身体が育つ瞬間がちりばめられています。そんな奇跡とも思える瞬間に出会った時、明日へとのびてゆく小さな命の輝きを感じるのです。そして先を急がず、行きつ戻りつ、でも確かに少しずつ、少しずつ、大きくなっていってほしいと願うのです。

6月初めの陽の光と風にそよぐ木の葉、そして子どもたち。
もうすぐ五月雨の季節。
今月も、どうぞお健やかにお過ごしくださいますように

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