2026年度6月園だより
心を満たす、美味しい時間
園長 清田 悦子
庭でたっぷり走り回り、どろんこをして戻ってきたお昼どきの保育園には、毎日なんともおいしそうな匂いが漂っています。「いいにおい~!」「きょうのごはん、なあに~?」お腹をすかせた子どもたちの声に、調理室の大きな窓越しに笑顔で、湯気の上がるお鍋の中身や出来立てのおかずを見せてくれるのは、栄養士・調理師の3人の先生たち。0・1才の離乳食・乳児食から幼児食、アレルギー対応食まで、98人の子どもたちが「おいしいなぁ」と幸せな気持ちで食事ができるように、発達や栄養バランスを考えた献立の中に、旬の食材を取り入れたり、形や食感・色合いの工夫、素材を生かす味付けにも心を配ります。家庭ではなかなか登場しない日本・世界各地の郷土料理や季節の行事食、子どもたちの大好きな絵本から飛び出したおやつメニューなど、子どもたちの喜ぶ顔を思い描きながら丁寧に作られている給食です。
5月は色々な種類の「マメ」が給食やおやつに登場し、子どもたちもそら豆の鞘むきや、グリーンピースの皮むきのお手伝いをしました。「そらまめのベッド、フカフカ!」「見て!お豆のお父さんと赤ちゃん!」とにぎやかです。初めて食べる食材や緑色の野菜に慎重な子どもも、楽しくお手伝いした後には、一口食べてみようかなと挑戦してみる子もいます。大切な友だちや先生と「みんなで食べる」保育園での食事は、お腹だけでなく心も満たす楽しい時間です。
まきば保育園では今、乳児担当の保育者が中心になって離乳食や食事の介助について自主的な勉強会を重ねています。乳児の身体の運動機能や口の中の機能が発達する過程や、子どもの食事についての考え方を再確認し、どのようにサポートしたらよいのかを学び合います。
たとえば、保育者が離乳期の子どもの口にスプーンを運ぶとき。下唇にスプーンをそっと乗せ、子ども自身の上唇が降りてくるのを待ち、口が閉じてからスプーンをまっすぐ抜く。あるいは、離乳の少し進んだ子どもが食べものに手を伸ばすとき。小さなお皿に食べやすい大きさや硬さに調理した食材を乗せ、子どもが自分の手で触って...温かい、冷たい、硬い、やわらかい、つぶすとべたべたする...と感じ、確かめるのを見守ります。
ときに子どもが「食べたくない」という気持ちを表すときには、子どもの気持ちが食事に向いているかどうか、一日の過ごしやお家での様子を振り返って体調の変化や疲れ、眠気がないか、など様々な理由を考えながら、その気持ちも受け止めます。苦手な食材を無理に食べさせることはしないけれど、そばにいる大人やお友だちがおいしそうに食べるのを見て、自然に自分から口に運ぶようになる子どももいます。
「食べる」ことの初めの一歩のような場面でも大人が「食べさせる」のではなく、子ども自身の「食べたい」気持ちを大切にすることで、生活の中で子どもが「選ぶ」ということを積み重ねていくのだと考えています。
ある保育者が「子どもたちは食べている時に"場所の空気"もいっしょに食べているんだと思う」と言いました。子どもたちにとってこの場所の空気が安心して心地よく「みんなで食べる」という楽しさや幸せに満ちているように願いながら、日々過ごしていきたいと思います。