園だより

「まきばのかぜ」

2019年9月

園長 大沢千佳子 

巣立っていくその日まで


どんなに相手を大切に思っていても、私たちはいつか別れを経験しなくてはなりません。
それは人生の途上でのある時、そして最期の時となることもあります。 

眠るようなそのやすらかな横顔に最後のお別れをしたのは、東松原の小さな教会でした。
私にとっては恩師ともいうべき人であり、友人であり、YWCAの一拠点で10年を共に歩んだ同志でもありました。口癖は、『目の前の一人のために、もしなすべきことがあると判断したら、そのたった一人のために全力をかけていく。』この信念を行動に移し、形にするべく山あり谷ありの道を一緒に歩き、未熟な私を時に厳しく時に励まし伴走してくれました。
東京YWCA社会福祉専門学校では、実習指導講師として一人ひとりに親身に関わり、育て、巣立っていった学生たちは今も福祉の現場で、その第一線で活躍しています。

人を育て、言葉以上にその在り方で、出会った人々に『自分自身を惜しみなく与えることが善きこと』であると伝え続けた人でした。

私たちは、親としてまた保育園に関わる者として、幼い子どもを育てるという同じ使命を
もっています。親はいつまでも親であり続けますが、子どもは自分が生きる明日へと、ある日忽然と巣立っていきます。まきば保育園で過ごす子どもたちは、時満ちてここを離れていきます。大切に思うひとりの子と私たちに与えられている時間には限りがあります。だから、きちんと子どもと向き合いたいと思うのです。
「子どもたちは、大人の話ではなく、大人の在り方によって教えられる」こう言ったのは、スイスの精神科医ユングです。「あなたの在り方は?」の答えは、10人いれば、10の答えが
あるはずですし、その答えは、一生をかけて求め続けるに値するかもしれません。
子どもを前に、一人の大人として胸をはれる自分であるのか、どう在るべきかを悩む時は、子どもたちにまず向き合ってみる。子どもが話している時は耳を傾ける。子どもが考えている時は待つ。そして、自分の思うこと考えることを子どもにきちんと伝えていく。たとえ、その子が0歳であっても6歳であっても、愛情をもって。巣立つその時まで。
自分の在り方の鍵はそこにあるのではないでしょうか。
 
暑かった夏もようやく終わりを迎え、あれだけ園庭を凌駕した蝉しぐれも気づけば、虫の音にその座を譲ったようです。9月、新たな気持ちで子どもたちとの一日一日を重ねていきたいと願っております。皆様、どうぞお元気にお過ごしくださいますように。

◆バックナンバー
2019年7月号 まきば保育園 園だより.pdf
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2019年5月号 まきば保育園 園便り.pdf
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