園だより

「まきばのかぜ」

2017年10月
園長 大沢 千佳子

「お母さんに伝えたいこと」

仕事柄、たくさんのお母さんたちに出会う機会が与えられてきました。
20年程前に板橋の拠点で始めた子育て支援広場「ほっとホットスペース」、そこでの出会いから生まれた療育の場「キッズガーデン」、家族で参加できるキャンプをはじめとした体験の場「いっぽの会」、「まきば幼稚舎」そして今、ここ『まきば保育園』。出会ってきたお母さん達が置かれた場所はそれぞれ違う。共通しているのは、子育て真只中ということ。

子育てに不安を感じながら誰にも相談できずにいたお母さん、障がいのある子どもと共に歩むお母さん、単身で子どもを育てるお母さん、自ら病気を抱えるお母さん、一方で多くを与えられているお母さん。それぞれ生きる条件は同じではなく、正直どうして、なぜと問わずにいられない厳しい現実もあります。けれど、一人ひとりに接し、話を聴き、時に共に泣き、笑う時間を通して気づかされたのは、その人生をどのような姿勢で生きているか、これが大切な意味を持っているということ。変えられないものを受け止めねばならないことがある。でも変えられるものを変える力はお母さん自身の中に宿っていることを教えられたのです。ひとつ乗り越えることで自信が与えられ、次の勇気が湧いてくる。

子育てをしていて抱える数々のこと、加えて仕事を持つという選択によって襲うストレスや疲労感。しんどいなぁと思うことも度々でしょう。お迎えの時のお母さんの姿にその日の仕事の疲れが残っていることもあります。これから気持ちを切り替えて子ども達が寝付くまでもうひと踏ん張り。そのうしろ姿を見送りながら、お母さんの身体もやすめられ、心が疲れ切らないようにと願う私たちです。保育園を立ち上げた大きな理由の一つに、家庭と仕事の両立に頑張るお母さん達へのエールがあることを見失うことはありません。

保育園で子ども達がその子らしくいられて、その子の歩幅で少しずつ大きくなっていく。それをお母さんに感じてもらえたら、きっとこの場所はお母さんにとっても大事な場所になっていけるのだと思っています。同じ時代に子育てをし、同じ保育園に子どもを通わせているそのことだけでも単に偶然として済ませてしまえない不思議なめぐり逢いだと思うのです。子ども達がお互いを受け止めて自然に繋がっていくように、
お母さんお父さんもここでつながって下さいますように。
「今日は疲れた~!」の一言が交わせるような、「お大事に」と労わり合える場所になれますように。

折しも今月の日本YWCA機関誌は、『誰もが安心して「ありのままの自分」でいられること。それが平和へのはじめの一歩だとYWCAは考えています...』という文章で始まり、ひとり一人が安心して自分らしくいられる場所「セーフスペース」について書かれています。まきば保育園も、子どもたちにとって、お母さん、お父さんにとってありのままでいられる、お互いを思いやれるセーフスペースであってほしいと願っています。

澄んだ秋空高く流れる雲を見上げながら、大きくおおきく深呼吸。
今月もお健やかにお過ごしくださいますように。