園だより

「まきばのかぜ」

2019年3月

園長 大沢千佳子 

春は もうそこまで、ほら、そこまできています

 

母が大切にしていたお雛さまを飾る時、ちらしずしの具をコトコト煮込む時、そして店先で桃の花、麦、菜の花を手に取る時、いのちが溢れいずる季節「春」を感じます。三月。春日。
 
 まきば保育園が開園したその年に0歳児クラスに入った9人の子どもたち。その後,仲間が増え、19人全員揃って、今月卒園の時を迎えます。 朝が明けると間もなくして門は開かれ、子どもたちがひとり一人登園してきます。茜色や瑠璃色に染められる空もやがて暮れて、月明かりの中最後の一人を見送り、長い一日が終わります。晴れの日も雨の日も変わることなく一日一日を重ね、六年が経ちました。途切れることなく連続した時間が流れる中で、子どもたちも私たちおとなも共に育ってきたように思えます。さりげない一日は、実は子どもたちの生き生きとした姿に彩られた、かけがえのない一日でした。六年間を共にした子も、一年だけ一緒に過ごした子も、私たちにとっては忘れることのできない大切なひとり一人です。

 私たちの仕事は、子どもたちが幸せであるためになされるべき仕事だと思います。私たちができることはとても小さいけれど、その仕事は決して易しくはないけれど、毎日心を込めて保育園の暮らしを創っているのです。『おかあさんって、ぼくがうれしいと、いつもうれしいっていうんだね』*戸田和代「きつねのでんわボックス」

母ぎつねが電話ボックスに化けて聞いた、入院をしているお母さんへ伝える男の子のことば。温もりのある言葉は、子ぎつねを亡くした母ぎつねの心にふたたびそっと火を灯したのでした。
このお話を読んだ時、母ぎつねの心に私たちの心が重なるように感じたのです。子どもたちが全身でうれしい気持ちを伝えてくれる時、私たちの心もうれしさで満たされていきます。
               
今年の卒園式も、涙と笑顔がごちゃ混ぜのシーンでいっぱいになることでしょう。巣立ちの日は、別れの時、明日への扉が開かれる時です。その日、19人の子どもたちの巣立ちの姿をしっかり見届けたいと思っています。
そしてまた、『まきば』には新たな朝が訪れ、愛すべき子どもたちとの毎日が始まります。こうして、保育の営みはいっときも留まることなく続いてゆくのです。

春はもうそこまで。 ほら、そこまできています。
皆さま、お健やかにお過ごしくださいますように。

◆バックナンバー
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