園だより

 

 

「まきばのかぜ」2024年4月

"だいじょうぶ だいじょうぶ"

      園長 瀬口哲夫

 数日前、卒園していく子どもから、「保育園の先生になって帰ってくるから待っていてね」という嬉しい声を聞き、保護者の方からも、「'まきば'は私たちにとっても居場所でした」「私以外に私の子どもを大事にしてくれる人がいることをはじめて知りました」という言葉をいただきました。お一人のお母さんが「先生、これからの私は大丈夫ですよね...」と言われたので「大丈夫ですよ」と応えました。"大丈夫"それは私たちの挨拶のような言葉でした。

 

 4月1日には、新入園の20人を迎え、新しいグループになった98人の子どもたち、期待と不安に包まれた保護者の皆様、ワクワクドキドキの職員たちの新年度が始まりました。どのようなスタートになるかと思っていましたら、この一週間の園内の静けさと落ち着きに驚いています。保育士も保護者の方々も落ち着いているからでしょうか。子どもたちの様子をみると、新しいオモチャに興味をもち夢中になる子もいれば、大きくなったから靴は自分で履けると胸を張る子もいます。一方、保育室が変わって、見かけない先生が声をかけてくることがイヤ!私の先生がなんで知らない子を抱っこしているのという怒りを「先生、きらい!」という言葉にする子もいます。感情が高ぶって部屋を走り回る子もいます。子どもの感じ方は様々です。泣いたり走り回ったりしながら自分の気持ちをコントロールしているのでしょう。大人が戸惑う目の前の子どもの行動に一喜一憂することはありません。そうした表し方が出来るところまで育ったのだと思います。それは素敵なことです。

 

 最後に、4歳のAちゃんのことをお話しします。Aちゃんは感じやすく、3歳の時には周囲の友だちの声かけに応えることなく、決まった先生、特定の年長児しか寄せつけないタイプでした。頼っていた年長の子が卒園してしまいどうなるのかと思っていたら、4月からクラスに入ってきた3歳の子が、カルガモの赤ちゃんのようにAちゃんのあとをついて歩くようになったのです。Aちゃんははじめ戸惑ったようですが、そのうち微笑むようになり、まんざらでもない様子。なにかが変わったようです。こうした出来事がもたらす、これからの子どもたちの成長が楽しみです。

 

 子どもが育つのは、親の力や先生の働きかけだけではありません。これからの日々の積み重ねのなかで、子どもは様々な人や出来事に出会い、もっと自分の世界を広げ、分かり合える仲間を見つけることが出来ます。人は出会い、知り合っていくことで変わり、明日には今日より良いスタートを始めることができます。保育園には、家庭にはない出会いがいっぱいあります。その経験を生かしながら子どもが育っていく姿をご一緒に楽しみましょう。卒園の時には、"やっぱり大丈夫だった。これからも大丈夫"と言い合えるようにと願っています。