ひびきあう心

2018年8月
園長 大沢千佳子

思い出のスケッチ

その1 自分を信じて
木漏れ日の中を歩く。聞こえてくるのは蝉しぐれと小鳥たちのさえずり。
難所が現れると、先頭と最後尾を護るシニアリーダーから声がかかる。
「足元よくみて!ゆっくりだよ!」
先生たちが声をかける。「そう、そう!その調子!」
地面にしっかりと張った根っこや岩を掴みながら急斜面を懸命に登っていく。
飛び石を慎重に踏みながら、せせらぎを渡る。
流れる水に手を入れた瞬間、小さな沢蟹を見つけた瞬間、湧き上がる子どもたちの歓声。
「滝が見えた!」最後の岩場を下って全員そろってゴール!!
19人全員踏破を願っていた先生たち。その熱い思いは叶いました。

その2 水のかがやき 
穏やかな流れが、大小の岩の間を縫い石崖を洗う急流となる。川は千変万化。
川面のかがやき、川風のさわやかさに心和ぐ川辺。
生き物探しに夢中になる子、流れに身を任せて川を下る子、崖から元気に飛び込む子、
乗り合いボートが嬉しくてたまらないのか声を上げて満面笑顔の子ども達。
川は皆を心ゆくまで楽しませ、付き合ってくれたのでした。

その3 火の神様
ひぐらしの声が山間に響くと入り日の空が広がり、やがて山々との境が消えすべてが群青色に
染まる。
子ども達がかたずをのんで見守るなか、火の神様からの小さな焔が点火され、
一気に大きな焔となり、火の粉は木々を越え空高く高く舞い上っていく。
火の神様って本当にいるんだ...。
そう、大人が忘れてしまった世界。子ども達は、幸いなるかな、持ち続けています。

全ての瞬間、そこには、私たちの期待を超える子ども達の姿がありました。
日常から離れ、小さな身体で、全身全霊で二日間を駆け抜けた子どもたち。
皆が聴いたのは、木のことば、水のことば、空のことば。
感性で捉えたものは、言葉では簡単には表せません。
ずっと後になって、ここでの記憶が戻ってきた時、それがどれほどかけがえのないもので
あったか、どれほどしあわせな時間であったかに気づくのかもしれません。
ふとした瞬間に、幼いころの景色を懐かしさとあたたかさの中で思い出すように。