ひびきあう心

2018年10月
副園長 瀬口哲夫

保育園ではもう少しで運動会。今年は「一人ひとりのストーリーを大切にする運動会」を目指します。練習の時から張り切って、当日にいつも以上の力を発揮する子もいれば、練習中はあんなに元気だったのに緊張で動けなくなる子や、騒がしさや競争が嫌いで愚図る子もいます。様々な感じ方があり、見るだけという参加の方法もあります。今回は競技に出ない子がいたとしても、運動会という場に居られただけでも素晴らしいと認めたいものです。
それは、その子だけの物語(ストーリー)の一場面。一人ひとりの子ができた部分を誉め、ありのままの姿を受け止めてあげましょう。運動会だけが育ちの場ではないし、自分をアピールする場でもないのです。物語は運動会が終わっても続いています。焦ることなく、その子が成長していく姿を楽しみに待ちたいものです。保育者も出し物をスムーズに進めるかを考えるだけでなく、ひとりの子どもが何を感じ、何を考え、何を必要としているかを考えるように努力します。
勝つことを目的としたスポーツの世界では鍛え上げることが正しく、指導者の教えに無条件に従うことが大切とされてきました。この考え方は、現代の競争社会を生きるために必要と考える方もいるよう。しかし、子どもは競争に勝つために生きている訳ではありません。デンマークサッカー協会少年指導法には、"子どもたちはあなたのモノではない"子どもたちから求められることはあっても、あなたから求めてはいけない""あなたの欲望(※勝ちたい、誉められたい、指導したい)を子どもたちを介して満たしてはならない""子どもたちのサッカー人生をサポートすることは大切。しかし、自分で考えさせることが必要"
"勝つことが大切か否かを決めるのは子どもたち自身だ"と書かれており、子どもと私たちの在り方について一つの示唆を与えてくれます。人生というストーリーの主人公は子ども
自身なのです。私たちは子どもを「自分で考え、自分で決めていくひとりの人間」と認め、放任でも強制でもない"丁寧な関わり"と"意欲が育つ環境づくり"を心掛けなければなりません。それができているかを、私たちは「子どもたちを守り育てる社会の一員」として
問い直してみる必要があります。